日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
原著
鼠径部周囲の孤立性閉塞性病変に対する外科的動脈形成術の有用性
上山 克史永吉 靖弘西村 修上山 武史
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2013 年 22 巻 7 号 p. 955-960

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抄録

要旨:【目的】鼠径部を中心とした外腸骨動脈末梢,総大腿動脈,および浅大腿動脈,大腿深動脈分岐部は孤立性に閉塞性動脈硬化病変を生じることが多く,同部分の病変により下肢虚血を呈する症例も散見される.当院では上記症例に対し血栓内膜除去,パッチ形成術を施行しているが今回同手術の有用性を検討した.【方法】2006 年1 月から2012 年12 月までに,Fontaine IIb 度以上の症状を有し,鼠径部の孤立病変を認める20 例23肢に同形成術を施行した.同時期に同部分に対し3 例の血管内治療を行ったが,すべて早期再狭窄を来し全例で同手術を行った.20 例中16 例は糖尿病患者で,6 例は慢性透析患者であった.2 例で趾尖部潰瘍を認めた.【結果】術後全症例で症状は消失,趾尖部潰瘍を認めた症例も治癒した.平均ABPI は術前平均0.58 から,術後平均0.91 に上昇,術後合併症もなく全員独歩退院した.現在まで平均2 年4 カ月の観察期間において2 次加療を必要とした症例は1 例もなかった.【考察】同術式は低侵襲で手術時間も短く,追加治療が必要となった症例はなかった.全例で症状は消失し独歩退院が可能であった.今回の結果より,鼠径部を中心とした孤立性閉塞性病変に対し直視下で観察し閉塞を完全に除去しうる同治療は第一選択として有用であると考えられた.

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