日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
EVAR 術後スタチンの炎症反応および術後経過に及ぼす影響に関する検討
山本 修青木 淳末澤 孝徳古谷 光久櫻井 淳
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 22 巻 7 号 p. 951-954

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抄録
要旨:【目的】腹部大動脈瘤(AAA)に対するステントグラフト内挿術(EVAR)におけるスタチンが術後の炎症反応および術後経過に及ぼす影響を検討する.【対象と方法】2008 年4 月より2012 年3 月までに当院でEVAR を行った151 例中,スタチン内服歴のない66 例,以前よりストロングスタチンを内服していた32 例およびその他のスタチンを内服していた11 例について術後の発熱日数,1,3,6 日目の白血球数,CRP 値および術後入院日数と合併症について検討した.【結果】熱発日数および白血球数については3 群間で差を認めなかった.CRP 値(mg/dl)は術後1 日目,3 日目,6 日目で非内服群 4.1±1.9,10.5±4.4,4.8±2.8,ストロングスタチン内服群 2.5±1.4,8.2±3.1,4.0±3.3,その他のスタチン内服群3.5±1.2,10.5±4.7,5.3±3.3 であり1 日目および3 日目で非内服群とストロングスタチン内服群で差を認めた(p=0.0002 および0.039).スタチン内服群では術後合併症を認めなかったが,非内服群では66 例中6 例が合併症により入院期間が延長していた.【結論】ストロングスタチンによりEVAR 術後早期のCRP の上昇が抑制され,術後の合併症が抑制された可能性があり,これらの効果はスタチンの強度が影響する可能性が示唆された.
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