日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
グラフト抜去時の工夫により後のカテーテル治療が容易であった人工血管感染例
郡谷 篤史松山 歩筒井 信一松田 裕之石田 照佳
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2015 年 24 巻 4 号 p. 754-758

詳細
抄録
要旨:症例は67 歳,女性.両下肢跛行を伴う,両側浅大腿動脈(SFA)の閉塞に対し,右大腿-膝下膝窩動脈バイパス(自家静脈),左大腿-膝上膝窩動脈バイパス(ePTFE 6 mm)を施行した.両下肢血流は改善し,退院した.その後,左膝窩部の人工血管周囲に膿瘍形成を認め,鼠径部で人工血管を離断した.SFA の内膜摘除を行い,遺残人工血管にてパッチ血管形成を行った後に末梢より人工血管を抜去した.後日,左SFA のカテーテル治療を施行した.血管形成されたSFA 入口部のガイドワイヤー通過は容易であり,ステント留置後,良好な血流を得た.約2 年経過し,バイパスおよびステントは開存し,跛行症状や感染兆候は認めていない.感染した人工血管の抜去手術時に断端形成を工夫することによって,後のEVT が容易であった症例を経験した.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top