2017 年 26 巻 2 号 p. 113-116
膝窩静脈静脈性血管瘤(popliteal venous aneurysm; PVA)は稀な疾患で,肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism; PTE)を合併することが多い.抗凝固療法単独ではPTE再発を予防できないため,PVAは外科治療の適応である.症例は62歳女性,生来健康.起床後に呼吸苦を自覚し当院へ来院した.呼吸促迫と低酸素血症を認め,contrast-enhanced computed tomography(CT)で両側散在性のPTEと右側のPVAを認めた.回収可能型下大静脈フィルターを留置した後に,PVA切除,小伏在静脈による自家静脈パッチ形成術を行った.術後半年以上経過し,再発や深部静脈血栓症は起きていない.PVAと診断されれば瘤内血栓がある場合や,血栓がない場合でも症例に応じ,重篤なPTE予防のため早期の手術を考慮すべきである.