2017 年 26 巻 5 号 p. 259-263
Frozen elephant trunk法は弓部大動脈瘤治療のために考案された,外科手術とステントグラフト治療を組み合わせた元祖ハイブリット治療である.その専用デバイスの開発・薬事承認とともに,日本のみならず全世界で普及している.本法の最も良い適応は,急性A型解離にてTotal arch repairが必要となる症例であるが,弓部瘤やB型大動脈解離等,ほぼ全ての弓部大動脈手術に応用できる.本法の利点は正中開胸では吻合の難しい下行大動脈まで,左開胸なく人工血管を移植でき,肺合併症が少ないことである.最大の欠点は脊髄神経合併症の発生頻度が通常の弓部置換に比し高いことであるが,この脊髄神経障害は複数の注意点を厳守することにより3%まで減少する.