日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
総説
PAD治療におけるハイブリッド手術
村上 厚文
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 26 巻 5 号 p. 275-283

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抄録

本稿では,末梢動脈疾患(peripheral artery disease: PAD)に対するハイブリッド治療の現状について紹介する.ハイブリッドとは“異種のものを組み合わせたもの”と定義され,外科領域では外科手術:Open Surgery(OS)と血管内治療(手術):Endovascular Therapy(Surgery),以下EVT(S),本稿ではEVTと記す,を組み合わせた治療法を指すことが多い.具体的には,inflow病変がEVT, outflow病変がOSで腸骨動脈領域のEVTに総大腿動脈の血栓内膜摘除(Thromboendarterectomy: TEA)の組み合わせが代表例となる.逆にinflow OS, outflow EVTまたはこれらの色々な組み合わせがあり,具体例を提示した.現時点でハイブリッド治療を俯瞰するようなガイドラインは存在しないが,治療法の選択に当たってはその妥当性が厳しく問われる.しかしとくに血管内治療デバイスの進化により日々その選択肢も変化し,妥当性も変化していると言える.まずEVT, Open Surgeryそれぞれ現行のガイドラインに沿った選択肢を遵守することが肝要で,その上で患者の背景因子も考慮に入れた適正かつ最適な組み合わせを検討する使命が外科医には課せられている.

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