2017 年 26 巻 6 号 p. 295-299
単純型大動脈縮窄症の術後生存率は20年で89%, 30年で82%, 40年で79%と報告されている.術後遠隔期に生じる合併症は,術後再狭窄,大動脈瘤,大動脈解離,二尖弁による大動脈弁疾患,感染性心内膜炎,冠動脈疾患,脳血管障害,高血圧と多彩であり,生涯にわたる経過観察が必要である.症例は,生後9カ月に他院で左側方開胸による大動脈縮窄修復術を施行された.26歳時に,胸痛を主訴に当科紹介となり,二尖弁による大動脈弁閉鎖不全症と上行大動脈瘤および基部拡大を認め,Bentall術と部分弓部置換術を行った.37歳時には,遠位弓部大動脈が瘤化し,全弓部置換術を施行した.極めて遠隔期に二回の手術を施行したが,良好な結果を得たので文献的考察を加え報告する.