日本血管外科学会雑誌
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症例
Distal Venous Arterializationで救肢した重症虚血肢の1例
磯田 竜太郎 森田 一郎平林 葉子杭ノ瀬 昌彦猶本 良夫
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2018 年 27 巻 1 号 p. 45-48

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抄録

重症虚血肢にはdistal bypassが困難で下肢切断に至る症例もある.今回,足部難治性潰瘍に対してDistal Venous Arterialization(DVA)を用いて救肢した重症虚血肢1例を経験した.症例は62歳男性で左第4.5趾基部に難治性潰瘍を認め当科紹介受診した.左後脛骨動脈閉塞病変に対する血管内治療が不成功のため,同側大伏在静脈を用いて左膝下膝窩動脈−足底動脈バイパス術を行った.吻合部末梢のrun-off不良でグラフト血流維持が困難のため術中にDVAに術式変更し,足関節やや末梢の足背の表在静脈に末梢吻合した.潰瘍部壊死組織のデブリードマンおよび局所陰圧閉鎖療法で術後6カ月目に潰瘍は完全治癒した.末梢吻合部動脈の高度石灰化やrun-off不良でdistal bypassが困難な症例に対してDVAは救肢の選択肢となりうる.

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