日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
急性腹部大動脈閉塞症に対して救命,救肢した一例—術中CHDFとModified Controlled Limb Reperfusion—
金本 亮 廣松 伸一尼子 真生大塚 裕之明石 英俊田中 啓之
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 27 巻 1 号 p. 49-53

詳細
抄録

急性腹部大動脈閉塞症は稀な疾患であるが,MNMS発症率や死亡率はともに高い.症例は77歳男性.夜間に突然の両下肢運動麻痺が出現し救急搬送となった.両下肢の運動感覚障害および末梢動脈触知不良,造影CTで腎動脈下腹部大動脈の閉塞を認め,緊急血行再建の適応と判断した.しかし手術室搬入時に発症より14時間が経過しており,血行再建によるMNMSが懸念されたため,左腋窩動脈–両側大腿動脈バイパス術よる血行再建に加え,再灌流前にCHDFを開始し,modified controlled limb reperfusion(大腿動静脈からの生食灌流と段階的な遮断解除)を行った.術後もCHDFを継続し,MNMSによる致死的な合併症をきたすことなく経過した.両下肢の切断も回避し,最終的に杖歩行まで可能になった.MNMSの高リスク症例であったが,救命・救肢できたので報告した.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top