日本血管外科学会雑誌
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症例
太い異所性腎動脈を有した馬蹄腎合併の腹部大動脈瘤に対するEVARの1例
加藤 一平 岩倉 具宏戸口 幸治浅川 紀子津村 康介
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2018 年 27 巻 4 号 p. 259-262

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抄録

太い異所性腎動脈(ARA)を有した馬蹄腎合併の腹部大動脈瘤(AAA)に対し腹部ステントグラフト内挿術(EVAR)を選択する場合,ARA血行再建とType IIエンドリーク予防の必要性は議論の分かれる点である.今回われわれは,血行再建を行わず,Type IIエンドリーク予防処置を行ったEVARを施行し良好な結果を得たので報告する.76歳の女性で5.5 mm径のARA一本を有した馬蹄腎合併のAAAを認めた.術前腎機能は正常で両側腎動脈は通常位置から分岐していた.ARAをコイル塞栓術しさらにその起始部を覆うようにアオルタエクステンダーを留置した.その後腎動脈下から通常のEVARを行った.術後造影CTで峡部を中心とした腎梗塞を起こしたが,ARAからのType IIエンドリークは予防できた.腎機能も温存でき,太いARAを有した馬蹄腎合併のAAAに対してもEVARを安全かつ効果的に行える可能性が示唆された.

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