日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
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Original Articles
  • 小林 平, 濱本 正樹, 小澤 優道, 海氣 勇気
    2018 年 27 巻 4 号 p. 267-272
    発行日: 2018/07/23
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー

    【目的】重症下肢虚血に対する静脈グラフトを用いた遠位バイパスは長期開存という面で優れている.しかしながらグラフトの狭窄により,遠隔期に開存が得られない症例もある.今回遠位バイパス術後のグラフト狭窄に対する血管内治療の成績を検討した.【方法】2009年4月から2016年10月まで当院で静脈グラフトを用いて施行した遠位バイパス術315グラフトのうち,遠隔期にグラフトに対して血管内治療を施行した50グラフト(17%)を対象とした.【結果】血管内治療は2.5~3.0 mmのバルーンを使用して,低圧,長時間拡張を行った.初回手技成功は48グラフト(96%,2グラフトは過拡張によりグラフト破綻)であった.平均観察期間は42カ月,1グラフトあたりの平均血管内治療回数は1.9回であった.遠隔期に10例でグラフト閉塞し,2次開存率は1年84%,3年77%であった.大切断回避率は3年95%であった.【結論】遠位バイパス術後のグラフト狭窄に対する血管内治療の成績は良好であった.グラフトへの血管内治療は外科的な再血行再建術以外のオプションとなる可能性がある.

症例
  • 加藤 一平, 岩倉 具宏, 戸口 幸治, 浅川 紀子, 津村 康介
    2018 年 27 巻 4 号 p. 259-262
    発行日: 2018/07/12
    公開日: 2018/07/12
    ジャーナル フリー

    太い異所性腎動脈(ARA)を有した馬蹄腎合併の腹部大動脈瘤(AAA)に対し腹部ステントグラフト内挿術(EVAR)を選択する場合,ARA血行再建とType IIエンドリーク予防の必要性は議論の分かれる点である.今回われわれは,血行再建を行わず,Type IIエンドリーク予防処置を行ったEVARを施行し良好な結果を得たので報告する.76歳の女性で5.5 mm径のARA一本を有した馬蹄腎合併のAAAを認めた.術前腎機能は正常で両側腎動脈は通常位置から分岐していた.ARAをコイル塞栓術しさらにその起始部を覆うようにアオルタエクステンダーを留置した.その後腎動脈下から通常のEVARを行った.術後造影CTで峡部を中心とした腎梗塞を起こしたが,ARAからのType IIエンドリークは予防できた.腎機能も温存でき,太いARAを有した馬蹄腎合併のAAAに対してもEVARを安全かつ効果的に行える可能性が示唆された.

  • 田畑 光紀, 崔 尚仁, 佐藤 誠洋, 高橋 範子, 佐伯 悟三
    2018 年 27 巻 4 号 p. 263-266
    発行日: 2018/07/13
    公開日: 2018/07/18
    ジャーナル フリー

    鈍的外傷による血管損傷はまれであり,なかでも総腸骨動脈に断裂を認めることはほとんどない.症例は58歳男性,作業中に右下腹部を強打し,強い右下腹部痛のため救急搬送された.来院時ショックバイタル,右下肢冷感を認め,右大腿動脈は触知しなかった.造影CT検査で,右総腸骨動脈損傷を認めた.循環動態安定のためハイブリッド手術室で左大腿動脈より大動脈閉塞バルーンを挿入,開腹した.術中所見で右総腸骨動脈は断裂し,断裂部に高度石灰化を認めた.またS状結腸およびS状結腸間膜損傷を認めた.総腸骨動脈は中枢,末梢を縫合閉鎖し,FFバイパス術を行い,S状結腸切除術を施行した.術後は右下肢の虚血再灌流による横紋筋融解症を生じ,一時的に血液浄化療法を導入したが,術後66日目に独歩で退院した.総腸骨動脈断裂による重篤な出血性ショック状態に大動脈閉塞バルーンを用いることで救命,救肢しえた.

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