日本血管外科学会雑誌
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症例
下行大動脈瘤破裂による大動脈気管支瘻に対して胸部ステントグラフト内挿術を施行した2例
小林 龍宏 内野 英明中村 健金 哲樹島貫 隆夫
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2018 年 27 巻 4 号 p. 297-301

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抄録

大動脈気管支瘻は稀な病態だが,早急な外科的治療がなされなければ致命率は極めて高い.大動脈気管支瘻に対する開胸手術は今日においても高い周術期死亡率であるが,一方で近年は胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)の良好な成績が報告されている.今回われわれは,下行大動脈瘤破裂による大動脈気管支瘻に対して,緊急でTEVARを施行した2例を経験した.症例1は81歳男性.胸部大動脈瘤で上行弓部全置換術後.症例2は78歳男性.慢性腎不全で血液透析患者.2例とも主訴は喀血で,CTで下行大動脈瘤破裂による大動脈気管支瘻の診断となり緊急でTEVARを施行した.術後抗生剤を継続し,感染所見やエンドリークを認めず経過は良好であった.大動脈気管支瘻の再発やステントグラフト感染などのリスクはあるものの,低侵襲かつ迅速なTEVARは,下行大動脈瘤破裂による大動脈気管支瘻に対する有効な救命手段と考える.

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