日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
心タンポナーデを伴う偽腔閉塞型大動脈解離を疑い緊急手術となったIgG4関連炎症性胸部大動脈瘤の1例
中村 康人 熊田 佳孝水野 裕介増田 暁夫
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 27 巻 4 号 p. 289-292

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抄録

IgG4-RDは,血清IgG4高値と組織でのIgG4陽性形質細胞浸潤・線維化を特徴とする疾患群であり,その中でもIgG4関連胸部大動脈疾患は極めてまれである.今回,心タンポナーデを伴う偽腔閉塞型大動脈解離と考えられ緊急手術を行ったが,術後にIgG4-R ITAAと診断された症例を経験したため報告する.症例は62歳男性,繰り返す嘔吐で救急搬送され,心タンポナーデを伴う偽腔閉塞型A型解離と診断し緊急手術を行った.術中所見で,上行大動脈は著明に肥厚していたが,大動脈解離は認めなかった.病理組織診断では,IgG陽性形質細胞の浸潤を認め,30%がIgG4陽性であった.術後血液検査では,血中IgG4は基準値を超えており,IgG4-R ITAAと診断した.ステロイド投与なしで外来通院中であるが,多彩な病変を合併する可能性があり,長期的な経過観察が必要である.

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