日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
内腸骨動静脈瘻を合併した腸骨静脈圧迫症候群に対してPROPATENを用いた静脈–静脈交差バイパス術が有効であった2例
宮本 智也 平山 亮坂口 健吉岡 祐希上木原 健太鈴木 龍介
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 28 巻 1 号 p. 41-45

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抄録

腸骨静脈圧迫症候群に対する治療は血管内治療や自家大伏在静脈を用いたPalma手術,人工血管によるバイパス手術などがあるが,確立されたものはない.出血や下腿潰瘍を主訴に受診した内腸骨動静脈瘻を伴う腸骨静脈圧迫症候群の2例に対してGORE PROPATEN Vascular Graft(W. L. Gore & Associates, Inc. Flagstaff, Arizona, USA)を用いた静脈–静脈交差バイパス術を施行した.PROPATENは,ePTFE(expanded polytetrafluoroethylene)のグラフト内腔にヘパリンを共有結合させて,抗血栓性に優れるとされる.動静脈瘻を維持した状態で良好な開存を維持することができ,症状は改善した.腸骨静脈圧迫症候群に対して,PROPATENを用いた静脈–静脈交差バイパス術は有効な治療方法と考えられた.

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