日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
潜在性二分脊椎症の合併により両側難治性足趾潰瘍を伴うBuerger病の発見が遅れた1治験例
林 祐次郎 佐々木 茂高山 哲郎本間 信之河村 圭一郎赤田 徹弥
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2019 年 28 巻 1 号 p. 47-51

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抄録

今回われわれは,潜在性二分脊椎症の合併により,両側難治性足趾潰瘍を伴うBuerger病の発見が遅れた1例を経験した.症例は33歳男性,生後より潜在性二分脊椎症を指摘されていたが,経過観察されていた.30歳時,二分脊椎症が原因と思われる足趾潰瘍形成をみとめ,創部デブリートメント,脊髄係留解除術を施行し潰瘍は改善した.2年後,難治性足趾皮膚潰瘍の再発をみとめ,症状改善しないため当院紹介となった.重症下肢虚血の状態であり入院後下肢動脈造影検査施行し,その特徴的な所見,また身体所見よりBuerger病の診断にいたった.治療は禁煙,プロスタグランディン製剤の投与,血管新生を促がすアートアシストを用いて行った.経過は良好で,足趾圧の改善をみとめ,潰瘍の治癒を得た.二分脊椎症を合併したBuerger病はまれであるため,若干の考察を加えて報告する.

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