2019 年 28 巻 2 号 p. 115-119
症例は67歳および71歳女性.大伏在静脈大腿静脈接合部逆流に伴う両下肢静脈瘤(C3)の診断で,両側血管内レーザー焼灼術の方針とした.両症例とも右血管内レーザー焼灼術終了後,左側大伏在静脈を穿刺,ガイドワイヤーを挿入した際に心室性不整脈が出現した.不整脈はガイドワイヤーが大伏在静脈大腿静脈接合部を通過することで再現性をもって出現し,抜去すると消失した.胸部不快感を伴っていたことから,手術を中止とした.2症例いずれも術後心室性不整脈の出現や器質的心疾患は認めなかった.またEHIT(endovenous heat-induced thrombus)および深部静脈血栓症/肺血栓塞栓症は認めなかった.術中所見からは,手技に起因する不整脈の誘発が強く疑われるが,現時点で血管内レーザー焼灼術術中の心室性不整脈の報告は検索しうる限り認められなかった.不整脈出現の原因について考察した.