2019 年 28 巻 2 号 p. 121-125
重度の肥満を合併した総腸骨動脈瘤に対してUpside-down techniqueを用いたGore Excluder contralateral legによるステントグラフト内挿術(EVAR)を行うことで,良好な結果を得たので報告する.症例は76歳男性.術前CT検査にて最大径40 mmの左総腸骨動脈瘤を認めた.身長164 cm・体重111 kg・体格指数(BMI)41.27と重度の肥満を合併していることから,開腹による人工血管置換術は困難であると判断し,EVARの方針とした.なお,左総腸骨動脈中枢側径16 mm・左外腸骨動脈径14 mmであり,Gore Excluder contralateral leg(PLC 201200)をUpside-down techniqueを用いて留置した.なお,type 2 endoleakの発生を予防する目的で,EVAR施行前に左内腸骨動脈に対してコイル塞栓術を施行した.術後問題となる合併症はなく経過した.術後のCT検査では明らかなendoleakは認めなかった.総腸骨動脈瘤に対してUpside-down techniqueを用いたGore Excluder contralateral legによるEVARは有用であると考えられた.