日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
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症例
血管内治療後の重症下肢虚血に対して外科的血行再建術を施行した1例
谷島 義章 尾頭 厚
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 28 巻 4 号 p. 335-339

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抄録

症例は66歳,男性.閉塞性動脈硬化症に対する人工血管を用いた両側大腿–膝窩動脈(FP)バイパス施行の1年後,右FPバイパスの急性閉塞を発症した.血管内治療(EVT)でグラフトを再疎通できず,右浅大腿動脈(SFA)にEVTが行われたが解離を生じた.右SFAに追加留置したステントは大腿深動脈(DFA)との分岐部を越えて右CFAの偽腔内留置になり,側副血行路である右DFAの入口部が狭窄した.その4カ月後にステント閉塞による右SFAの急性閉塞を発症した.EVTで右SFAを再疎通できず,右DFAにEVTが行われたが,重症下肢虚血に陥った.当院で腹部大動脈–右DFA–膝上膝窩動脈のsequentialバイパスでの外科的血行再建を選択し,良好な術後経過を得た.血行再建方法の選択については,EVTだけでなく外科的血行再建術の選択肢を考え,その時々において最適な治療戦略を検討する必要があると考えられた.

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