2019 年 28 巻 6 号 p. 383-387
症例は93歳の女性.最大短径54 mm大の傍腎動脈腹部大動脈瘤(juxtarenal abdominal aortic aneurysm; JAAA)で,動脈瘤頸部と長軸とのなす角度は100度と高度屈曲を認めていた.高齢であることから開腹手術のリスクが高く,また通常のEVARではtype Iaエンドリークの可能性や腎動脈損傷の可能性など合併症のリスクが高く経過観察していたが,半年で5 mmの拡大傾向を認め最大短径59 mm大に達した.破裂の危険が高いと判断しViabahnを用いたsnorkel techniqueでEVARを施行した.術後は腎機能障害などの合併症なく経過し,2年後には最大短径は36 mmに著明な縮小を認め良好な経過を得た.症例に応じて,JAAAに対してsnorkel techniqueを用いたEVARも有効と考えた.