2020 年 29 巻 4 号 p. 193-196
症例は84歳,男性.1年間に2度の右大脳半球の脳梗塞を発症した.CTにて,不整な粥腫により内腔が狭窄し,径が17 mm大に拡大した腕頭動脈を認めた.遊離粥腫による塞栓が脳梗塞の原因と考えられた.血管径が拡大し,脳保護が難しいことから血管内治療は不適と判断した.手術は直視下で腕頭動脈を結紮し,腋窩–腋窩動脈交叉バイパス術で血行再建を実施した.術後経過は良好で,脳合併症は認められず,第6病日に退院した.腕頭動脈病変が原因と診断された脳虚血疾患に対して本法は低侵襲かつ有効な方法と考えられた.