日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
基礎疾患を有さない未破裂肋間動脈瘤の1治験例
久米 博子 小泉 伸也本間 香織岸野 充浩岩井 武尚
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 29 巻 5 号 p. 333-336

詳細
抄録

肋間動脈瘤は神経線維腫症1型,大動脈縮窄症などの基礎疾患を有する患者に稀に発症することが知られているが,基礎疾患のない患者に認めることは非常に稀である.今回,偶然見つかり,治療した未破裂肋間動脈瘤の1例を経験したので報告する.症例は69歳男性,既往歴:高尿酸血症,高脂血症,外傷歴なし.家族歴に特記事項なし.血液学的所見および画像所見にて全身的な基礎疾患を認めず.右腰背部痛で近医受診し,尿路結石等の疑いにて胸腹部造影CTが撮影された.痛みの原因は特定できなかったが,痛みは自然軽快し,偶然見つかった肋間動脈瘤を治療する方針とした.左第7肋間動脈に最大直径2 cmの囊状動脈瘤を認め,コイル塞栓術を施行した.術後合併症なく経過し,術後5年の経過観察にて瘤の拡大を認めず,他の動脈瘤の発生も認めていない.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top