日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
COVID-19治療中に発症した腹部ステントグラフト急性血栓閉塞の1例
伊藤 寿朗 大堀 俊介鈴木 亮高柳 亮鈴木 正人森本 清貴
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 30 巻 3 号 p. 169-172

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抄録

症例は67歳の男性.既往歴に糖尿病,高血圧,睡眠時無呼吸症候群がある.腹部大動脈瘤および右総腸骨動脈瘤に対してExcluderを用いた腹部ステントグラフト,右内腸骨動脈コイル塞栓術が施行されていた.退院後は下肢の虚血症状もなく経過良好であった.EVAR術後7カ月目にCOVID-19に罹患し,COVID-19発症第3病日より入院し治療が開始された.第14病日に呼吸状態が悪化し非侵襲的陽圧換気療法が開始となっていた.第28病日ごろより両下肢の冷感を自覚.第33病日に突然腰から下肢への激痛と筋力低下が出現した.造影CTにてステントグラフト血栓閉塞,左腎動脈閉塞を認め,末梢は外腸骨動脈が鼠経靭帯まで血栓閉塞していた.緊急で腋窩動脈–両大腿動脈を施行し,術後経過は良好である.COVID-19が原因と考えられる急性ステントグラフト血栓閉塞を経験したので報告する.

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