日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
COVID-19に合併した急性下肢虚血の1例
吉川 英治 林 一郎加島 一郎飯島 夏海黑田 大朗
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2021 年 30 巻 3 号 p. 173-177

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抄録

COVID-19は血栓症の合併頻度が高く,死亡率の増加と関連している.症例は70歳男性で,COVID-19のPCR検査陽性後9日目に発熱や息切れの症状増悪のため入院となった.低酸素血症のためNPPV管理となり,D-dimer値は28.2 µg/mLであった.入院翌日に右下肢痛が出現し,右大腿動脈以遠の動脈拍動が触知困難となった.D-dimer値は65.9 µg/mLで,CTで腹部大動脈に限局性の壁在血栓と右腸骨動脈,右大腿深動脈,右膝窩動脈の血栓閉塞を認め,左前脛骨静脈にも血栓を認めた.TASC II分類IIbの急性下肢虚血の診断で,緊急に全身麻酔下でFogartyカテーテルによる血栓除去術を施行した.術後は右大腿動脈以遠の動脈拍動が触知可能となり,ヘパリン持続静注の後,DOACによる抗凝固療法を開始した.術後CTで右下肢動脈は良好に描出されていたが,腹部大動脈の壁在血栓は残存していた.

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