2021 年 30 巻 4 号 p. 241-245
昨年,大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドラインが約10年ぶりに改訂された.そのなかで,「定義・診断・疫学・病理・検査」の領域について,2020年版ガイドラインが,前回のガイドラインと比べ改訂の明らかな点のうち,以下の事項に絞って概説した.(1)用語:Intramural hematoma(IMH), Pentrating atherosclerotic ulcer(PAU), Ulcer-like projection(ULP),に関しての再定義.前回推奨されなかったIMHという用語を臨床用語として容認した.(2)分類:偽腔の状態による解離の分類に関しての再定義.とくにULP型と開存型の境界を数値で示した.(3)囊状大動脈瘤に関してリスク層別化:高リスクの数値としての基準(sac depth/neck width >0.8他)を参考値として示した.