2022 年 31 巻 1 号 p. 7-10
腎動脈瘤は無症状で経過することが多いため,他疾患検査目的のCTやエコーなどで偶然発見されることが多い.症例は57歳,女性.CTで右腎門部に3本の流出動脈を有する多発性囊状動脈瘤を偶然に発見した.瘤径26 mmのものがあり破裂の危険を有するため手術適応となった.腹部正中切開でアプローチし,下大静脈を授動し良好な視野を得て腎動脈瘤を露出し腎保護液を注入後に瘤切除と残存瘤壁による血管形成術を行った.術後は正常腎機能で経過し術後1年4カ月経過後も流出動脈はすべて狭窄がなく開存し瘤再拡大も認めていない.