日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
反転した外側副伏在静脈をinflowとして使用したin situ saphenous vein graftによる下肢血行再建術の一例
古川 博史 増田 憲保上部 一彦
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2022 年 31 巻 3 号 p. 113-116

詳細
抄録

症例は85歳,女性.約6年前に高度石灰化を伴う両側総腸骨動脈高度狭窄に対して右腋窩–両側大腿動脈バイパス術を施行したが,約2年後に人工血管閉塞を認め,左総腸骨動脈血管内治療+左大腿–右大腿動脈交叉バイパス術(F–F bypass)を行った.両側浅大腿動脈閉塞に対して左大腿–膝窩動脈バイパス術(膝上)を行い,術後16カ月経過し,右下肢安静時痛増悪で右下肢血行再建を行った.inflowをF–F bypass人工血管から確保する必要があり,良好な径の外側副伏在静脈(LASV)を認め,LASVを反転させF–F bypass人工血管と吻合し,in situ saphenous vein graft(ISSVG)にて膝下膝窩動脈と吻合した.術後下肢造影CTでISSVGは良好に開存していた.ISSVGでは中枢側の吻合部位に制限があり,良好なLASVがあれば本術式は考慮すべき方法の1つと考えられた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top