2024 年 33 巻 3 号 p. 115-119
【目的】欧米では脊椎手術の際,血管外科医が術野の確保,止血を担うことがあるが,本邦では行われていない.当教室が協働した前方経路腰椎椎体間固定術(ALIF)の問題点を解析し,脊椎外科とのコラボレーションに重要な点を検討した.【方法】2019年8月から2023年1月までのALIF 21例について,対象疾患,出血量,主要合併症,手術の問題点を解析した.【結果】年齢64.9±12.3歳(男性13例),手術時間234.8±68.7分,出血量197±167 mLで,19例(90.5%)でイベントなく下位腰椎前方の展開が遂行できた.2例(9.5%)に左腸骨静脈または正中仙骨静脈から出血を認め,縫合止血が困難で圧迫止血した.【結論】ALIFにおいて脊椎外科と協働する際には,創が小さく,深い術野であるため慎重な手技,判断が必要であり,整形外科的な解剖,手技も熟知することが必要である.