上腸間膜動脈(SMA)閉塞は稀な疾患であり,腸管虚血による腹痛を起こし手術が必要なことがある.また上腸間膜動脈瘤(SMAA)は稀だが,破裂のリスクが高く,破裂した場合の死亡率の高さから介入が必要とされる.SMA閉塞やSMAA切除では血行再建や腸管切除が必要な場合があるが,腸管血流の評価方法は確立されていない.SMA閉塞および感染性SMAAに対する開腹手術で,術中にインドシアニングリーン(ICG)蛍光法を用いて小腸の血流を評価した症例を報告する.症例は腹痛を主訴とする63歳男性で,感染性心内膜炎によるSMA閉塞および感染性SMAAと診断された.開腹手術でSMAA切除後に,ICG蛍光法を用いた小腸の血流評価を行い,血行再建および腸管切除は不要と判断した.術後腹痛は消失し,合併症の併発なく術後11日目に前医に転院した.術中ICG蛍光法はSMAA切除における腸管血流の評価に有用と考えられた.