日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
術中インドシアニングリーン蛍光法による腸管血流評価が有用だった動脈閉塞を伴う感染性上腸間膜動脈瘤の1切除例
門田 悠暉 野﨑 功雄畝 大吉田 賢司古田 めぐみ中井 幹三
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2024 年 33 巻 3 号 p. 125-130

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抄録

上腸間膜動脈(SMA)閉塞は稀な疾患であり,腸管虚血による腹痛を起こし手術が必要なことがある.また上腸間膜動脈瘤(SMAA)は稀だが,破裂のリスクが高く,破裂した場合の死亡率の高さから介入が必要とされる.SMA閉塞やSMAA切除では血行再建や腸管切除が必要な場合があるが,腸管血流の評価方法は確立されていない.SMA閉塞および感染性SMAAに対する開腹手術で,術中にインドシアニングリーン(ICG)蛍光法を用いて小腸の血流を評価した症例を報告する.症例は腹痛を主訴とする63歳男性で,感染性心内膜炎によるSMA閉塞および感染性SMAAと診断された.開腹手術でSMAA切除後に,ICG蛍光法を用いた小腸の血流評価を行い,血行再建および腸管切除は不要と判断した.術後腹痛は消失し,合併症の併発なく術後11日目に前医に転院した.術中ICG蛍光法はSMAA切除における腸管血流の評価に有用と考えられた.

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