2022 年 45 巻 1 号 p. 11-19
プラごみの発生源である流域から河川, 海岸にわたるプラスチック動態に関する研究事例は少ない。本研究では, 流域~河川~海岸における5 mm以上も含むプラスチック片の動態を解明することを目的として, 神奈川県引地川流域における流域 (道路) ・河川・海岸漂着物のプラスチック片調査を行った。標本粒子の回収試験結果より, 本研究のプラスチック片の対象サイズを1 mm以上とした。観測結果より, 用途地域間の道路堆積物中のプラスチック片数密度と質量濃度は, 各々商業, 住居地域が有意に大きく, その要因にプラスチック片サイズ分布が影響していることが示された。プラスチック片の材質を道路・河川・海岸で比べたところ, 河岸・海岸漂着物では比重の小さいPE (ポリエチレン) とPP (プリプロピレン) , PS (ポリスチレン) が卓越するが, 道路堆積物では大幅に少ないことが明らかとなった。