下水道では流入水質に応じた効率的な処理を行うことが重要であるが, 都市部における下水の一般水質特性と集水域特性の対応は解明されていない。そこで, 本研究では東京都区部における10年間 (2010年度~2019年度) の変化を対象とし, 人口, 土地, 嗜好などに関する集水域特性の時空間分布を整理した上で, 集水域特性と下水道水質の時空間的対応を統計的に解析した。その結果, BODおよび全窒素濃度の年平均値は昼間人口密度が増加すると濃度が高いという傾向が示され, 年単位で下水道水質と昼間人口密度および土地利用に空間的対応があることが示された。また, 月単位の解析では, 下水道水質と光熱・水道支出や月平均気温の間に季節的な対応も確認され, それらを総合評価することで両者の時空間的対応を解明した。以上より, 効率的な下水処理を行うために, これらの集水域特性を考慮した水質予測モデルが有効となることも示唆された。