2023 年 76 巻 6 号 p. e149-e156
牛舎におけるハエ類(イエバエとサシバエ)成虫対策のため,2種の薬剤と3種の資材について駆除効果と特徴を比較した.また,ハエ類成虫によるウイルス感染症の拡散リスクを明らかにするため,イエバエによるパラポックスウイルス(PPV)の機械的伝播の可能性と,サシバエにおける牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)の体内保有状況について検討した.薬剤と資材は,それぞれ一方のハエのみに選択的に効果があり,組み合わせた使用や,設置後の定期的な管理が必要であった.また,イエバエ体表の直接及び間接洗浄液からPPV遺伝子が検出され,BLV感染牛の牛舎で捕獲したサシバエからはBLV遺伝子が検出された.以上より,感染症の拡散と蔓延防止のためには,発生しているハエ類を識別し,発生動向を把握したうえで,ハエ類に適した駆除方法の選択と設置後の管理が必要であると考えられた.