1991 年 53 巻 6 号 p. 1013-1017
脳心筋炎ウイルスD株(103 PFU/head)を腹腔内接種した8週齢のDBA/ 2雄マウスの中枢神経病変を接種28日後まで検索した. 中枢神経のウイルス力価は4日後にピークに達し, 28日後までに消失した. 病理組織学的には6日後に, 大脳の海馬と扁桃核, 小脳の顆粒細胞層および胸髄と腰髄の腹角にウイルス抗原を含む神経細胞の変性・壊死が認められた. 脊髄ではこの他, 6日後に腹索と側索で脱髄病変がみられ, 10日後には海綿状病巣の形成がみられた. こうしたウイルス学的および病理学的所見に対応して, 6日後の数例で後肢麻痺が観察され, その出現頻度は10日後には急増し, 約60%に達した.