抄録
本研究は, 胎生期におけるウシ口蓋ヒダ形成過程における細胞外基質(ECM)としてファイブロネクチン, ラミニン, I型およびIV型コラーゲンおよび炭酸脱水酵素アイソザイムIII(CA-3)の組織内発現をそれらの特異抗体を用いた免疫組織化学によって検索したものである. ウシの口蓋ヒダは, 発生初期においてその予定形成部に上皮細胞のプラコードと間充織細胞の凝集を示していた. さらにヒダは単純な上方への隆起を開始し, ついでヒダの遊離縁は後方に向って傾斜しながら成長していた. また, 今回観察したECMは, 口蓋ヒダの予定形成部位を決定するような直接的な関係を示す結果を得ることができなかったが, ラミニンはCRL 7cmの脂仔のプラコード直下の基底膜からのみ消失していた. またCA-3は, CRL 21cmより大きい胎仔の口蓋ヒダの基部の上皮基底層でのみ強い発現が認められた. 本実験結果から, ラミニンとCA-3が, ウシ口蓋ヒダの形状決定になんらかの役割を演じている事が示唆された.