ラット唾液腺涙腺炎(SDA)罹患ラットの肺からPRK細胞で分離された17株のSDAV分離株について中和試験による抗原性の違いを調べた. SDAV681株, 930-10株, および分離株のLu-3, Lu-4, Lu-7, の合計5株のウイルスに対するラット免疫血清を作製し, これらの抗血清と17株の分離株との間で中和試験を行ったところ中和反応のパターンにより分離株は3群に大別された. 第一群は抗930-10, 抗Lu-3, 抗Lu-4および抗Lu-7の4種類の抗血清で強く中和されるパターンを示し, 17株のうちの8株がこれに分類された. 第二群は抗Lu-3および抗Lu-4の2種類の抗血清のみと強く反応するパターンを示し, 6株のウイルスがこれに分類された. 残りの3株は5種類の抗血清のいずれともほヾ同程度に反応するというパターンを示し, 第三群に分類された. ウイルスが分離された時期的関係から3種類の抗原性の異なるウイルスは数度にわたるSDAの流行の際に不規則に, 時には2種類が同時に動物室に蔓延していたことが明らかになった.