抄録
ラットおよびモルモットの皮内および腹腔内にT. suisを実験感染させ, 経時的に病変を観察した. 皮内接種群では, 肉眼的に接種部に灰白色の小結節が形成された. 腹腔内接種群では, 漿膜に多数の灰白色結節が認められた. 病巣は特徴的な菌塊を含み, 病理組織学的に初期では膿瘍が, さらに進んで膿形成性肉芽腫が観察され, 最後に肉芽腫となった. 菌塊は, 胞子, 葉状体および多室塊茎体で構成されていた. ラットの皮内およびモルモットの腹腔内接種群で塊茎体周囲に棍棒体が形成されていた. 豚のT. suisの特徴的病変はラットおよびモルモットを用いた実験的感染により再現され, その病原性が立証された.