肝炎を自然発症するLECラットは他の系統のラットで報告されているよりもかなり低い線量で急性放射線骨髄障害死を起こすことが示された. 急性骨髄障害死が主たる死亡原因である30日以内での放射線障害死は対照のWKAHラットでは7.4Gy以上の線量のX線で全身照射された場合にみられ, LD50/30は7.8Gyであった. これに対して, LECラットでは2.0Gy以上の線量で照射された場合でも30日以内に死亡することが示され, LD50/30は3.0Gyであった. プロビット解析によってLECラットは有意に急性放射線障害に感受性であることが示された. 4.0Gy全身照射したLECおよびWKAHラットの骨髄において造血細胞数は照射後減少し, 出血が認められた. 照射後8日目にはWKAHラットの骨髄では造血細胞数の回復が認められたが, LECラットではその様な回復は認められなかった. LECラットは放射線障害を検討する上で重要なモデル動物となると考えられる.