抄録
尿管結紮による実験的尿毒症犬の血漿を用いて既報で選定した4つの尿毒症性ピークの構成成分を二段階の分取液体クロマトグラフィー(PLC)を用いて分画し, 各分画の物理化学的性状を調べた. 分取の第一段階として既報と同じ陰イオン交換樹脂を用いたPLCを試み, 各分画の逆相HPLCによる分析で, 3ピークはほぼ単一の成分からなることが確認されたが, 1ピークは多成分から構成されていることが判明した. そこで, 各主要ピークを第二段階の逆相系PLCで分画した. これらの純化した4種の成分を薄層クロマトグラフイー分析, 紫外部吸収スペクトル測定およびプロトン核磁気共鳴測定により物理化学的性状を調べた結果, ピリジン誘導体, 尿酸, 馬尿酸およびキヌレン酸であることが判明した. これらの物質は犬の小分子量尿毒症物質として重要な意義を有することが示唆された.