抄録
イヌの局所炎症に対する急性相反応における, 血清インターロイキン(IL)-1, IL-6, および腫瘍壊死因子(TNF)様活性の変化を他の急性相反応物質とともに観察した. テレピン油の筋肉内投与により局所炎症を引き起こしたイヌは典型的な炎症過程を示し, 処置後第14日に回復した. 急性相反応期には, 血清C-反応性蛋白(CRP)およびα1酸性糖蛋白(α1AG)濃度は上昇し, アルブミンは低下した. これらの値は, 第14日から第21日までに正常範囲に戻った. 血清IL-6様活性は処置後2時間から第6日に検出された. 血清TNF様活性は処置後2時間から24時間に低レベルで検出されたが, 対照群との間に統計学的な差を認めなかった. これらの活性の変化は, CRP, α1AG, およびアルブミンの変化に先行していた. 処置後の血清には, IL-1様活性をまったく検出しなかった. 以上より, イヌにおいても血清中のIL-6が損傷に対する急性相反応の制御機構の一部を担っていることが示唆された.