Journal of Veterinary Medical Science
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血液量減少性ショック時における肝血流量の変化
木下 現鷲巣 誠本好 茂一Breznock Eugene M.
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1995 年 57 巻 4 号 p. 703-708

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抄録
循環血液量減少性ショック時の肝血流量の変化を門脈血流量を正確に測定することが出来るよう改良した右心バイパス法を用いて検討した. 安静時の肝臓の血行動態は今までの報告に類似していた. すなわち, 総肝血流量は心拍出量の34%であり, 門脈血流量および肝動脈血流量は総肝血流量のそれぞれ76および24%であった. 血液量減少性ショック時には門脈血流量の減少によって総肝血流量が著しく減少した. この門脈血流量の減少から腸間膜循環はショック中に心拍出量の分配率が低下する末梢循環に分類されることが確認された. ショック中に心拍出量中の肝動脈血流量への分配率が増加した.このことからショック中の肝動脈緩衝反応の発現が確認された. ショック中低下していた総肝血流量はショック状態離脱後の肝動脈血流量の増加によってショック前値にまで回復した. 本試験結果からショック中及びショック状態離脱後の肝血流量減少に対する代償反応として肝動脈緩衝反応の発現が証明された.
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