Journal of Veterinary Medical Science
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ウサギ腫瘍モデルにおけるガドジアミド注による造影MRIの検討
山田 一孝神保 猛宮原 和郎佐藤 基佳広瀬 恒夫加藤 博敏舘野 之男地平 博夫杉原 博古濱 和久
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1996 年 58 巻 5 号 p. 389-396

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抄録
獣医臨床における造影MRIの有用性を検討する目的で, 脳, 肺, 骨, 卵巣および筋肉に扁平上皮癌細胞株(VX2)をそれぞれ移植した5種類のウザギ腫瘍モデルにガドジアミド注を投与し, 1.5あるいは2.0Tの超電導MRIを用いて造影MRIについて検討した. 脳腫瘍モデルおよび卵巣腫瘍モデルでは, 検出困難であった腫瘍領域が造影後には検出可能となった. 骨腫瘍モデルでは造影前に同様に低信号を示した腫瘍領域と壊死領域が, 造影後には腫瘍領域のみが高信号を示すことによって腫瘍領域が明瞭となった. 筋肉腫瘍モデルでは造影後に正常筋肉, 壊死領域, 腫瘍領域の判別が容易となり, 内部構造の把握が可能となった. MRIの撮像が困難と考えられている肺においても造影剤の使用により, 腫瘍の検出が可能であった. これらの造影効果は, 脳腫瘍モデルでは腫瘍の浸潤にともなう血液脳関門の破碇により, 筋肉腫瘍モデルでは血管透過性の亢進に伴って造影剤が組織に漏出したためと考えられた. また, 肺腫瘍, 卵巣腫瘍および骨腫瘍モデルでは, 血流によって造影剤が分布した結果と考えられた. なお, 造影MRI実施中に造影剤に起因すると考えられる臨床症状の発現は認められなかった. したがって, 造影MRIは獣医臨床においても安全で非侵襲的な腫瘍の診断方法として有用であることが示唆された.
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© 社団法人 日本獣医学会
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