水資源・環境研究
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33 巻, 1 号
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論説
  • 中国山東省房幹村を事例に
    菊池 真純
    2020 年 33 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/24
    ジャーナル フリー
    1975年当時、中国房幹村で貧困からの脱出と発展を目指して開始した貯水、植樹(環境保全)、田の整備(生計を立てる手段)、道路開通(インフラ整備)は、いずれも村の安定的で持続的な発展を支えるために必要不可欠な要素である。しかし、実現が困難な課題として山積している地域が世界には少なくない。森林被覆率をみると、2019年、中国の森林被覆率は約20%である一方で、房幹村は約90%であり、村の森林がいかに高い数字で維持拡大されてきたかがわかる。村の林権にも特徴があり、生態公益林を村の集団所有とするほか、果樹農家による経済林経営という個人の裁量が可能な空間にも一貫した集団所有の村としての特色が現れている。集団所有の村の村長の強い統率力と村民の強固な団結、またそれによるこれまでの発展の実績があるため、時代の変化や様々な政策の変化を経た今日もなお集団所有の村として房幹村は機能し、発展を続けているといえる。
研究ノート
  • 淺野 敏久, 森 保文, 前田 恭伸, 犬塚 裕雅
    2020 年 33 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/24
    ジャーナル フリー
    本研究では、瀬戸内海流域の上下流の連携が強調される中、住民が瀬戸内海や流域をどう認識しているのか、その認識が市民活動への参加とどう関わるのかを明らかにした。そのために流域住民へのウェブアンケート調査を行った。流域住民を対象としたにもかかわらず、流域内に住んでいる認識が曖昧な人がかなりいた。この層は、瀬戸内海への関心が低く、環境問題に関する情報を集めることに消極的で、市民活動への参加も少なかった。そもそも市民活動への参加経験者はとても少なかった。参加実績のある層と参加希望層を比較したところ、両者の差は明確で、参加実績のある層は環境問題に関心が高く、具体的な活動団体を知っている傾向が強く、参加希望を示す層は、友人から誘われるなら参加するという受動的傾向が認められた。回答者の居住地認識は、環境認識や参加実績に差を示すものの、参加の有無を説明する変数として、他の変数ほどの説明力はもたなかった。
  • NPO 法人「びわこ豊穣の郷」を事例として
    山添 史郎, 塚本 利幸, 霜浦 森平, 野田 浩資
    2020 年 33 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/24
    ジャーナル フリー
    本稿では、滋賀県において、流域単位のモデル事業として発足した経緯を有する滋賀県守山市のNPO 法人「びわこ豊穣の郷」を事例とし、地域環境NPO の会員が、NPO と行政とのどのような関係(「対抗/補完/相補」)を重視しているかという「行政との関係志向」とその変化を明らかにする。「びわこ豊穣の郷」の会員の「行政との関係志向」について分析を行った結果、「第Ⅱ期:成長・定着期」では、「対抗志向」の会員と「補完志向」の会員の割合が高く、ほぼ同じ割合となっており、「相補志向」の会員の割合は低くなっていた。一方、「第Ⅲ期:成熟・転換期」では、「対抗志向」の会員の割合が増加し、「補完志向」の会員の割合は横ばいで推移し、「相補志向」の会員の割合は減少していた。「対抗志向」の会員では、住民主体の取り組みを進めていこうとする傾向が強くなってきており、「びわこ豊穣の郷」においては、提言を行うとともに自らも実践に取り組むような活動の比重が高まっていくであろう。
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