水資源・環境研究
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ラオス北部焼畑地帯における森林利用と森林認識
ルアンパバン県ナムバック郡7か村のヒヤリング調査より
千頭 聡上杉 圭子
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2003 年 2003 巻 16 号 p. 33-40

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抄録

この研究は、ラオス北部の焼畑地帯における村落の社会経済状況や森林資源の利用について実態調査を行い、持続可能な資源利用と地域開発の方向性を探るものである。
この研究で得た結果を以下に列挙する。
(1)米不足を補う収入手段として、特用林産物は、一役を担っていると言える。よって、林産物資源の減少や枯渇を防ぐために、採取量のコントロールや保全の方策を同時に検討する必要がある。
(2)換金作物の導入は、収奪型の焼畑から脱却する良い方策であるが、流通システム等の確立も同時に必要となっている。
(3)森林および焼畑跡地の各段階の名称は、細かく付けられている。これは、慣習的に森林の植生や再生段階を細かく観察していることを示している。
(4)ラオス政府による森林区分は、森林の機能により設定されているが、村人が慣習的に認識してきた森林の区分は、焼畑や信仰など生活に密接に結びついてきたものである。

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