2016 年 64 巻 6 号 p. 272-275
視覚障害者の立場から見た場合,化学あるいは生命科学現象を聴覚を利用してとらえたり,対象に触れて体験することが重要であるが,化学構造式は,それが画像情報であるために,視覚障害者にとってアクセスしにくい分野であった。筆者は自らの経験を基に視覚障害者自らによる構造式描画や,パソコンの出力画面やスキャンされた画像から化合物名とそれ以外の文字を一括して読み上げるシステムについて検討している。本稿では,これらの描画法や認識法について解説するとともに,関連するいくつかの知見も紹介する。