関西病虫害研究会報
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原著論文
チャ園におけるクワシロカイガラムシの性フェロモントラップを利用したクワシロカイガラムシおよび天敵類のモニタリング
小澤 朗人内山 徹金子 修治
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2022 年 64 巻 p. 43-51

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抄録

静岡県の複数チャ園において,クワシロカイガラムシの合成性フェロモン剤をルアーとしたフェロモントラップに捕獲される昆虫類を3年間調査した。その結果,トラップには,クワシロカイガラムシ雄成虫と,クワシロカイガラムシの土着天敵類のナナセツトビコバチ,チビトビコバチ,サルメンツヤコバチ,捕食性タマバエ類などが捕獲された。フェロモントラップとブランクトラップによる3年間の総捕獲数の比率は,クワシロカイガラムシで4.4~6.0倍,ナナセツトビコバチで323~685倍,チビトビコバチ,サルメンツヤコバチでそれぞれ0.8~1.5倍,0.9~1.5倍,捕食性タマバエ類で0.8~1.2倍であった。統計解析の結果から,クワシロカイガラムシの性フェロモンは,クワシロカイガラムシ雄成虫とナナセツトビコバチ雌成虫のみを有意に誘引することは明らかであり,フェロモンはナナセツトビコバチに対してはカイロモンとして作用すると考えられた。世代別に集計したナナセツトビコバチの捕獲数は,クワシロカイガラムシの捕獲数との間に,有意な正の相関関係が認められた。両種の各世代における捕獲ピーク日の比較では,約1/2の世代でピーク日が一致し,両種が同調して発生することが示唆された。

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