2015 年 39 巻 3 号 p. 736-738
腱板断裂の手術で上腕骨大結節の骨質は手術手技に影響を与える.我々は骨密度(以下BMD)とCT値を測定し,上腕骨頭の領域別骨質の差を検討した.
症例は20例,男性12例,女性8例,平均年齢 67.7歳.断裂サイズは小断裂9例,中断裂4例,大断裂7例であった.BMDは上腕骨頭に1cm2関心領域を作り骨頭内側,骨頭上方,中央,外科頚,大結節の測定を行った.CT値は冠状面で大結節が確認できる断面を対象とした.関心領域を50mm2として,BMD測定と同様の部位で平均CT値を測定し,骨頭前方と後方の比較をした.各領域のBMD値とCT値について検討した.
その結果上腕骨頭内で領域別に骨質の差があり,後方の軟骨下骨の骨質が良好で,大結節では前方のCT値が高かった.また中断裂はCT値が低い傾向にあった.腱板断裂手術で大結節の前方はアンカー刺入に安全であることがわかった.