抄録
関節リウマチ(RA)患者に生じた腱板断裂に対する修復術のまとまった報告は,ほとんどない.そこで,術後1年以上経過した鏡視下腱板修復術(ARCR)9例9肩を調査した.男4肩,女5肩,手術時平均年齢は62.4歳,術後経過期間は14~76ヶ月,断裂サイズは小断裂2 肩,中断裂6 肩,大断裂1肩,罹患肩のLarsen分類はgradeI 6肩,gradeII 3肩であった.7肩は術前に,2肩は術後にRAと診断された.全例,鏡視下に滑膜切除と腱板修復を行った.JOAスコアは術前平均56.3点が術後85.1点に改善した.疼痛は全例改善したが,可動域は1肩で改善しなかった.術中,術後に各1肩アンカーの脱転が生じた.再断裂は2肩で認め,1肩は関節破壊が進行し,人工関節置換術を行った.薬物治療によりRA疾患活動性が十分コントロールできている場合には,非RA患者と同様な適応でARCRを実施して良いと思われる.