北関東医学
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症例報告
Arctic SunTMが奏効したquad feverの1例
秋枝 一基金指 秀明前田 玲佳小林 諭史松島 純也矢嶋 尚生坪内 陽平櫻井 馨士
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2022 年 72 巻 2 号 p. 223-227

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抄録

 脊髄損傷後の持続する高熱に対して,冷却ジェルパッド式体温管理システム(以下Arctic SunTM)による冷却が奏効した症例を経験した.症例は17歳男性で,スポーツにより第5/6頚椎脱臼骨折および頚髄損傷を受傷し当院に搬送された.入院後14時間で体温は40℃まで上昇し,その後も39℃前後の発熱が持続した.第12病日に42.5℃の発熱が見られたが,解熱剤や通常の冷却が無効であり,各種検査の結果感染症や血栓症などによる発熱は否定された.Quad feverによる発熱と診断し,Arctic SunTMを使用したところ,速やかに解熱が得られたが,高熱による横紋筋融解症と急性腎不全を合併し計7回の間欠的な血液透析を必要とした.Arctic SunTMの使用は第25病日まで必要であった.Quad feverの診断には,感染・非感染性の発熱の否定が重要なため,診断に難渋する上,解熱剤などは無効なことが多く,重症化し死亡した例も報告されている.Arctic SunTMの使用はquad feverの解熱に有効であると考えられた.

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