2025 年 75 巻 4 号 p. 375-381
目 的:オフィスユロロジーの現場における精管結紮術の標準的手技を提示し,単独術者による周術期成績と習熟過程(ラーニングカーブ)を検証する.
対象と方法:2010年1月~2025年7月に当院で施行した精管結紮術234例を後方視的に解析した.手技の要点は,正中1か所切開,non-scalpelアプローチ,精管近位端二重結紮,遠位端二重結紮と折返し集簇結紮,内腔粘膜焼灼,1.5 cmの精管切除,創部無縫合である.症例を施行順に5期(各50例,最終期34例)に区分し,手術時間・有害事象・無精子化到達率を比較した.
結 果:平均手術時間(95% CI)は第1期27.0分(25.8-28.2),第2期25.5分(23.9-27.1),第3期23.0分(21.7-24.3),第4期22.7分(21.5-23.9),第5期21.5分(19.7-23.3)で,第3期以降で有意に短縮した(p=0.00166).有害事象は軽度創部感染0.9%,精巣上体炎3.4%,創部出血・陰嚢血腫2.6%(保存的治療1.7%,要処置0.9%)であった.術後精液検査による無精子化確認率は1回目(術後1か月以降)で93.2%,2回目(術後2か月以降)までで94.9%であった.再手術を要したのは第2期の1例(0.4%)のみで,第3期以降はなかった.精液検査未施行例は11例(4.7%)であったが術前術後の説明強化により175例目以降では術後精液検査の施行率は100%であった.
結 論:外来環境で単独術者により行う「正中1か所切開・無縫合・二重結紮と遠位折り返し結紮・粘膜焼灼・精管切除」の組み合わせによる精管結紮術は,合併症率が低く,無精子化の到達が早く,無精子化率も高く,オフィスユロロジーに適した再現性の高い手技と考えられる.