抄録
トノサマバッタは相変異を持つ飛蝗の一種であり,西アフリカ,中国などでしばしば大発生する.日本のトノサマバッタを調査したところ,西アフリカ,中国と同等の相変異を有すること,生活史がヨーロッパ,アフリカと同様であることが明らかになり,一方,西アフリカや中国のような大発生に適した生息地がほとんど存在しないこともわかった.これらの結果の比較検討により日本ではトノサマバッタがなぜ大発生しにくいか,なぜ大発生が継続しにくいかについて考察した.関西国際空港では1994~97年に一期島,2007年に二期島でトノサマバッタが大発生し,危機管理として空港での飛行機事故を防止するために,調査と防除の基本戦略を設定した上で防除を行った.