2017 年 2017 巻 64 号 p. 23-26
摘要 千葉県の秋冬どりニンジン産地で問題となっているしみ症の発生状況と病原菌を2014年11月26日から2015年1月13日にかけて延べ19圃場で調査した結果,全ての圃場でしみ症の発生が認められた。しみ症病斑からはPythium 属菌とFusarium 属菌が分離され,ニンジンしみ腐病とニンジン乾腐病が発生していると考えられた。両者の病斑は性状が類似したものが多く,病斑性状で判別することは難しいと思われた。分離頻度はPythium 属菌が高く,秋冬どり栽培におけるしみ症の主な原因はニンジンしみ腐病であると考えられた。また,しみ症の発病株率と発病度は圃場間で大きく異なり,しみ症発病度が低かった5圃場のうち,4圃場では2012~2014年にエンバクの作付けがあった。